自宅で手軽に、自分好みのコーヒー豆を焙煎したい。そんな「ホームロースト」の夢を叶えてくれるマシンとして注目を集めているのが、ダイニチ工業のWebShop限定モデル「カフェプロ MR-102 (Cafe Pro MR-102)」です。
ボタン一つで生豆から焙煎、冷却までを全自動で行ってくれる手軽さが魅力の家庭用コーヒー豆焙煎機。私もその「簡単さ」に惹かれて導入し、その性能には概ね満足しています。
しかし、使ってみて初めてわかった、決定的な「不満点」がありました。
それは、「焙煎度の限界がフルシティローストまで」という仕様です。もしあなたが、テカテカと油が浮かぶような「フレンチロースト」や「イタリアンロースト」の極深煎りを求めているなら、このマシンはあなたの期待に応えられないかもしれません。
この記事では、カフェプロ MR-102を実際に使用して感じたメリットと、特に「深煎り」に関して感じた具体的な不満点について、詳しくレビューしていきます。
カフェプロ MR-102の圧倒的メリット:「簡単さ」と「安定性」
まず、誤解のないように強調しておきたいのですが、MR-102は「深煎りの限界」という一点を除けば、家庭用焙煎機として非常に優秀な製品です。手網やフライパン焙煎の面倒さから解放されたい人にとって、まさに救世主と言えます。
私が「素晴らしい」と感じたメリットは以下の通りです。
1. 焙煎から冷却まで「完全全自動」
最大の魅力はこれに尽きます。生豆を投入し、12段階ある焙煎レベル(L1~L12)から好みのレベルを選んでスタートボタンを押すだけ。あとはマシンが熱風で豆を撹拌しながら焙煎し、設定したレベルに達すると自動で冷却フェーズに移行し、常温近くまで冷ましてくれます。
焙煎中にずっと張り付いている必要がなく、火加減を調整したり、豆を振り続けたりする手間は一切ありません。
2. 優秀なチャフ(皮)分離機能
手網焙煎などで悩まされるのが、焙煎中に剥がれ落ちる「チャフ(シルバースキン)」の飛び散りです。MR-102は、焙煎中に発生したチャフを熱風で吹き飛ばし、本体上部のチャフコンテナに自動で集めてくれます。キッチンの周りがチャフだらけになるストレスから解放され、後片付けが驚くほど簡単です。
3. 再現性の高さ
「前回と同じ焙煎度L8で」と設定すれば、ほぼ同じ焙煎度の豆が焼き上がります。手動の焙煎ではその日の気温や体調で微妙なブレが出がちですが、MR-102なら安定した品質の豆をコンスタントに生産できる。これは大きな強みです。
最大の不満点:深煎りの限界「L12=フルシティロースト」
ここまで絶賛しておきながら、なぜ私が「不満」を抱いているのか。それは、このマシンの焙煎レベル「L12(最も深い設定)」をもってしても、私の求める「深煎り」には到達しないからです。
私は普段、アイスコーヒーやエスプレッソ用に、豆の表面に油が浮き、苦味とコクがガツンと来る「フレンチロースト」や、それ以上の「イタリアンロースト」を好んで飲みます。
MR-102の最大設定であるL12で焙煎を終えた豆を見てみると、確かに色は濃く、2ハゼ(豆が爆ぜる音)もピークに達している状態です。しかし、焙煎度合いで言えば、これは「フルシティロースト」か、良くて「浅めのフレンチロースト」といったところ。
あの真っ黒でオイリーな、理想のフレンチローストには、あと一歩…いや、二歩ほど足りないのです。
フレンチローストを実現するための「苦肉の策」
では、フレンチロースト好きは諦めるしかないのか?
私が試した「苦肉の策」は、焙煎プログラム終了後、すぐに豆を取り出して「追い焙煎」することです。
MR-102がL12の焙煎を終え、冷却に入る「ピー」というアラームが鳴った瞬間、すぐに電源を切り、高温の焙煎釜から豆を取り出します。(※火傷に細心の注意が必要です)
そして、その豆をあらかじめ熱しておいたフライパンや手網に移し、コンロの火で好みの深さ(フレンチ~イタリアン)になるまで、数分間、手動で追加焙煎を行うのです。
確かにこれで理想の深煎り豆は手に入ります。しかし、これは「全自動の手軽さ」を求めてMR-102を購入した意味を、根本から覆す行為です。焙煎の最終段階で最も煙が出て、チャフも飛び散る可能性がある作業を、結局手動でやることになるのですから。
「あと数分、焙煎時間を延長する機能さえあれば…」「L13、L14の設定があれば…」と、本当に惜しく感じます。
なぜ深煎り設定がないのか(考察)
なぜダイニチは、あえて「フルシティローストまで」という仕様にしたのでしょうか。
これはおそらく、家庭用機器としての「安全性」を最優先した結果だと推測します。フレンチローストを超える深煎り領域は、豆から油分(コーヒーオイル)が激しく染み出し、非常に高温になります。これは発火のリスクと隣り合わせです。
万が一の事故を防ぎ、「誰でも安全に使える全自動焙煎機」として製品化するために、安全マージンを取り、「フルシティロースト」を発火リスクのない安全な上限として設定したのではないでしょうか。
まとめ:カフェプロ MR-102は「買い」か?
ダイニチ カフェプロ MR-102は、その「簡単さ」「安定性」「清掃の容易さ」において、家庭用焙煎機として非常に高い完成度を誇る製品です。
<MR-102を強くおすすめできる人>
- 浅煎り(シナモン)から中煎り(ハイ)、中深煎り(シティ~フルシティ)までを楽しみたい人。
- 手網焙煎やフライパン焙煎の手間、チャフの掃除から解放されたい人。
- 毎回安定した同じ味の焙煎を求める人。
<購入を慎重に検討すべき人>
- 焙煎のメインが「フレンチロースト」や「イタリアンロースト」である人。
- アイスコーヒーやエスプレッソ用に、オイリーな極深煎り豆を求めている人。
- 全自動の「追い焙煎」という手間に、価値を見出せない人。
結論として、MR-102は「深煎りの限界という一点を除けば、ほぼ完璧な家庭用焙煎機」です。
もしプログラムがアップデートされてフレンチローストまで対応できれば、間違いなく「最強」の製品でした。現状では、自分の好む焙煎度が「フルシティローストまで」で満足できるかどうかを自問自答した上で、購入を決断すべきマシンだと言えるでしょう。


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